セロトニン|幸福感を生む脳の仕組み

突然ですが、あなたは今「幸せ」ですか。
この問いに、即座に「はい」と答えられる人は、どのくらいいるのでしょうか。
- なんとなく、気分が晴れない
- 毎日をこなすだけで精一杯
- 楽しいはずなのに、心が動かない
そういった感覚を、じんわりと抱えながら生きている人は、決して少なくないと思います。
かつて不登校になったり、中二で母を亡くした私もそうでした。
「幸せになりたい」と思っているのに、どこか遠い場所にあるような感覚。
曇りガラスの向こうに晴れ空が見えているのに、そこへたどり着けない、そんな日々でした。
でも今は、その理由が分かります。
足りていなかったのは、「セロトニン」という脳内物質だったのです。
この記事では、
- 幸福感を司る脳内物質「セロトニン」の仕組み
- 具体的な脳を整える実践法
この二つに焦点を当てます。
「幸せになれない」のは、あなたの性格のせいではありません。脳の状態の話です。
だから、変えられます。
この記事では、怪しい宗教や「幸福論」的なものは出てきません。
脳科学で「幸福感」を感じられるようになっていきましょう。それでは本編へ。
不登校だった時の自分
数年前、私が中学二年生だった時に不登校になりました。
朝、起き上がれない日が続きました。
何かを楽しいと感じる感覚が、どこかへ消えていました。頑張ろうとしても、エンジンがかからない。そんな毎日でした。
当時の自分には、その理由が分かりませんでした。
- 「自分が弱いのか」
- 「気持ちの問題なのか」
- 「自分は劣っているのか」
こんな具合に、ただ自分を責めていました。
でも今振り返ると、あの状態には脳科学的な説明がつきます。
その経験の詳細については、以前の記事に綴っています。
もしよければ、こちらもご覧ください。
「父子家庭で育った私が、今伝えたいこと」中学2年生のとき、母を亡くしました。父子家庭として生きるなかで感じた孤独や葛藤、そしてそこから学んだ「生き方のヒント」を綴ります。同じ境遇で悩む10代や保護者の方に届けたい記事です。... 不登校は「甘え」じゃない|脳の仕組みでわかる回復のステップ不登校は意志の弱さではなく、脳の防御反応です。本記事では、学校に行けなくなる仕組みや長引く原因、回復のステップを実体験をもとに解説。安心の作り方や少しずつ動けるようになる方法まで、具体的に紹介します。...
この記事では、その経験の「脳科学的な答え」として、セロトニンの話を進めていきます。
セロトニンとは何か
セロトニンとは、脳内で分泌される「神経伝達物質」の一つです。
難しく聞こえるかもしれませんが、要するに「脳内の情報を伝える化学物質」のことです。
セロトニンが運ぶものは、
- 心の安定
- 安心感
- 幸福感
- 愛情/愛されている感
これらのモノに深く関わっている物質として知られています。
セロトニンが、別名「幸せホルモン」と呼ばれているのもそのためです。
1.ドーパミンとの違い

セロトニンと混同されやすい物質に、ドーパミンがあります。こちらも非常によく聞く脳内物質ではないでしょうか。
以前の記事でも取り上げましたが、ドーパミンは「快楽」や「やる気」を生む物質です。
- 何かを達成したとき
- 好きなものを食べたとき
- ゲームでレベルが上がったとき
このような「刺激的な喜び」がドーパミンです。
一方、セロトニンが生み出すのは、もっと静かな感覚です。
- 穏やかな気持ち
- 今ここにいることへの安心感
- 「なんとかなる」という落ち着き
派手な喜びではなく、土台となる幸福感、とイメージすると分かりやすいかもしれません。
ドーパミンについての詳しい解説は、別の記事でまとめていますのでぜひともご覧ください↓
ドーパミンの正体|やる気・快感・依存を生む脳の仕組みドーパミンとは何かをわかりやすく解説。快楽物質ではなく「やる気」や「欲求」に関わる脳内物質の正体を紹介します。スマホやSNSに依存してしまう理由や、集中力・記憶力との関係、日常での対策まで具体的に解説しています。...
2.セロトニンが不足するとどうなるか

セロトニンという物質は、我々人間にとってプラスなものである、ということはお分かりいただけたかと思います。
それでは、セロトニンが足りなくなるとどうなるのか、見てみましょう。
- 理由もなく気分が落ち込む
- やる気が湧かない、無気力
- 眠れない、または眠りが浅い
- 些細なことでイライラする
- 不安感が抜けない
心当たりはありませんか。
これらは「メンタルが弱い」とか「根性がない」という話ではありません。
セロトニンが、脳内で不足しているサインです。
逆に言えば、セロトニンを意図的に増やすことができれば、これらの状態は改善できる可能性があります。
では、どうすれば増やせるのか。次のパートから、具体的な方法を解説していきます。
セロトニンを増やす方法
セロトニンは、生活習慣によって意図的に増やすことができます。
「何か特別なことをしないといけないのか」と思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
日常のちょっとした行動が、脳を根本から変えていきます。
1.朝日を浴びる

セロトニンを増やす方法として、最も効果的かつ手軽なものが「朝日を浴びること」です。
セロトニンは、太陽の特に「ブルーライト」を含む自然光を目から取り込むことで、分泌が促進されます。
これは脳科学的にも確認されていることで、朝に光を浴びてからおよそ30分以内に、セロトニンの分泌が始まると言われています。
あの頃の私は、朝カーテンを開けることすらしんどかった。
それでも父が仕事に出た後、なんとなくベランダに出て、ぼーっと外の空気を吸う時間がありました。今思えば、あれが細い細いセロトニンの糸だったのかもしれません。
まずは、カーテンを開けることから始めてください。それだけでいいです。
あと、電気代の節約にもなりますね。
太陽光とセロトニンを調べる研究は多数行われており、その多くで関係性があることが報告されています。
Effect of sunlight and season on serotonin turnover in the brain
2.リズム運動をする

セロトニンの分泌を促すもう一つの柱が、「リズム運動」です。
リズム運動とは、一定のリズムで繰り返す動作のことです。
- 歩く
- 咀嚼する(よく噛んで食べる)
- 深呼吸をする
- ガムを噛む
これらの動作は、脳幹にある「縫線核」というセロトニンを生成する部位を直接刺激します。
難しく言いましたが、要するに「単調なリズムの繰り返しが、脳をリセットする」ということです。
母を亡くした後、部活もやめて時間を持て余していた私は、何となくランニングをはじめました。
目的もなく、ただ走るだけ。音楽も聴かず、ただ足音だけを聞きながら。
たまにご近所さんと会って立ち話をするくらいです。
あの時間が、確実に私の脳を助けていたのだと今は思います。
「やる気が出ない」と感じたとき、まず5分だけ歩いてみてください。 脳が動き出します。
科学的にも、リズム運動とセロトニンについての関連性が証明されています↓
3.人と触れ合い、感謝を伝える

セロトニンは、人との温かいつながりによっても増加します。
ここで合わせて知っておいてほしいのが、「オキシトシン」という物質です。
オキシトシンは「愛情ホルモン」とも呼ばれ、
- 誰かと話す
- 触れる
- 感謝を伝える
こういった行動で分泌されます。
母親が子供に対して抱く愛情や愛おしさが元になっています。「母の無条件の愛情」はオキシトシンによるものです。
そしてこのオキシトシンが分泌されると、セロトニンも連動して増えやすくなることが分かっています。
つまり、人とのつながりは二重に脳を整えてくれるのです。
しかしながら、わたしにとってはこれが一番難しかった。
当時の私は、父に弱音を吐けませんでした。友人にも「母が亡くなった」とは言えなかった。
感謝を伝えるどころか、誰かと深く話すことすら避けていました。
それでも、
- 担任の先生がそっとしておいてくれたこと
- 友人が「大丈夫か」と声をかけてくれたこと
この一言一言が、じわりと効いていたのだと思います。
「ありがとう」の一言が、あなたの脳を、そして相手の脳も整えます。
大げさな言葉でなくていい。日常の小さな感謝を、声に出してみてください。
科学的にも、オキシトシンとセロトニンとの関係性が証明されています↓
4.食事を整える(トリプトファン)

セロトニンは、「トリプトファン」というアミノ酸を原料として脳内で合成されます。
つまり、食事からトリプトファンを摂ることが、セロトニン生成の燃料になります。
トリプトファンを多く含む食品は以下の通りです。
- 大豆製品(豆腐・納豆)
- バナナ
- 乳製品(牛乳・チーズ・ヨーグルト)
- 卵
- ナッツ類
特別な食事制限は必要ありません。
毎朝の食卓に、バナナか納豆を一品加えるだけでいいです。 それだけで、脳への原料供給がぐっと変わります。
そして、このセロトニンを増やすことは誰でもできます。
- お金
- 時間
- 労力
こういったものはほとんど必要ありません。「努力不要で」幸福感を感じられるのです。
気づいたら、やっていた
ここまで読んでいただいて、気づいたことがある方もいるかもしれません。
「あれ、これって当たり前のことじゃないか」と。
- 朝日を浴びる
- 歩く
- よく噛んで食べる
- 人に感謝を伝える
- 卵を食べる。
どれも、特別なことじゃないですよね。。
むしろ、「普通の生活」と呼ばれるものの中に、全部入っているのです。
私はあの頃、それを意識して実践していたわけではありません。
- 父が出かけた後にベランダで外の空気を吸った
- 料理をするようになって、バナナや卵を毎日食べた
- 部活をやめた代わりに、あてもなく近所を走った
- 友人の言葉に、「ありがとう」と返した
それだけです。
あの頃は絶望の日々ではありましたが、なぜか「幸福感」だけは感じていたのです。
でも今、脳科学の言葉でその日々を振り返ると、全てに意味があったと分かります。
意識してやっていなかったからこそ、体と脳が本能的に「正解」を選んでいたのだと思います。
人間の体は、思っている以上に賢いです。
ただ一つ、後悔していることがあります。
それは、もっと早くこの「仕組み」を知っていれば、自分を責める時間が減ったかもしれない、ということです。
- 「やる気が出ない」
- 「何も楽しくない」
- 「やっても意味ない」
不登校の時はずっと「自分の弱さ」だと思っていました。でもそれは、セロトニンが足りていなかっただけだったんです。
脳の状態を知ることは、自分を責めるのをやめる第一歩でもある。
そのことを、あの頃の自分に伝えたかったと、今も思います。
決して特別なことをする必要はありません。
できるところから一歩ずつ始めて見てください。
まとめ
今回の記事では、「幸せホルモン」ことセロトニンについてまとめました。
【セロトニンを増やす方法】
- 1.朝日を浴びる
- 2.リズム運動をする
- 3.人と触れ合い、感謝を伝える
- 4.食事を整える(トリプトファン)
セロトニンは、日々の生活の満足感や幸福度を大きく押し上げてくれます。
今すぐできることも多いので、ぜひとも日常生活に取り入れて、「無気力な日々」から抜け出してみてください。
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